2024年10月3日木曜日

神隠し


藤沢周平先生の短編集
町人物が多いかな ホッとする話もあるが暗く終わる話もあり人間の業の深さを感じる
厳しすぎる冷めたラストに少し驚いた「夜の雷雨」、短くスッキリした中に多くのものが詰まっている「三年目」が特に心に残った


拐し(かどわかし)
嫁入り前の娘が身代金目当てで攫われる 父親がなんとか探し当てたが娘は平気で犯人と暮らしていた
昔の仲間
昔強盗を働いた二人組の一人は足を洗い商売で成功していたが余命宣告される 子供たちのため死ぬ前に元の仲間を探すと自分のことは忘れていたが思い出したので殺す それを見張っていた知り合いの岡っ引きに目撃されてしまう 何もしなければよかったのに
疫病神
家族を捨て出て行った極道者の父を見つけ老いて貧しく暮らしているのを見て家に引き取るが やがて飲む打つ買うを始める
告白
娘を嫁に出し主人が古女房に昔のことを尋ねると 店をやめた男と一緒になるつもりで家を出たと告げられる
三年目
三年前江戸に出る旅の途中腹を病み泊まった旅館の女と3年後の約束を交わした男が約束を守って戻ってきたがもう三年待ってくれと言い残し江戸に戻る 女は後を追う決心をする
鬼顔の農家の不器用な娘が追われている侍を助け匿ううちに侍に抱かれ女の歓びを知る 追手がいなくなり出ていこうとする侍を通報し捕まった侍はしかし娘に礼を言うが娘は死を思う
桃の木の下で
人が襲われるところを目撃した女 は夫に告げるが夫も仲間で女は命を狙われる 好きだった幼馴染の本家の男に相談し夫は捕まり女は男の元へ戻るか?
小鶴
喧嘩が絶えない夫婦が記憶喪失の娘を引き取り養女にするうち喧嘩をしなくなるが隣の藩の許婚が引き取りに来る 娘は両親が喧嘩ばかりで遂に殺傷事件を起こしたことで記憶を失っていた
暗い渦
美人の許婚の娘とうまくいかずつい器量の悪い娘の友達とできてしまい責任を取り夫婦となり仕事でも成功した男が偶然辛そうに暮らす娘を目撃する 妻から昔の娘の話を聞き感慨にふける
夜の雷雨
子供夫婦が死に必死に育てたヤクザ者になった孫の帰りを待つ老女 たまたま知り合った娘が病で看病をしていたが孫が戻り娘に乱暴しようとしているのを見て絶望し孫を刺し殺す
神隠し
商人の妻の過去と脅す男、逆手に取ろうとする夫 一見だらしない岡っ引きの推理もの

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