2024年8月20日火曜日

馬上少年過ぐ


司馬遼太郎先生の短編集 藤沢先生の新潮文庫の巻末の目録に司馬先生の短編集があって 
長編はほぼ読んでるが短編はあんまりだったので借りてみた
司馬先生の文章は久しぶりだけどやっぱ良いねぇ 淡々と スパッと切れるような 人間の本質を射抜くような 簡潔で自身に満ちた表現
藤沢先生の小説とは基本が違うような 小説というよりは記録 ただ人間の潤いがあってなんとも面白い 司馬先生の芸なのか これが歴史小説というものなのか
先生は小説で一人の男を描きたいと書かれていたのをどこかで読んだが長編だけでなく本作の短編でも同じですね 一作だけ小説っぽい、作り物っぽい話があるがこれもユーモラスで良かった
どれかひとつなら貂の皮、重庵の転々の逆の話になるのかな、能力が高すぎて失敗する人もいるし低い能力でしたたかに生き残る人もいる 我々が歴史から学ぶべきことですね

英雄児
河井継之助 藩の英雄だが 人物の大きさに比べ藩が小さすぎた悲劇
慶応長崎事件
幕末 長崎の英国人殺傷事件の顛末 英国 幕府 土佐 坂本の海援隊 様々な立場がこの事件に絡みながら歴史は進んだ
喧嘩草雲
足軽に生まれ剣も強いが絵師を志した男の生涯 幕末の活躍 晩年に達した二天(絵の宮本武蔵)の境地
馬上少年過ぐ
伊達政宗 母に疎まれながら若くして家を継ぎ人質に取られた父を見殺しにし敵を倒すまで 弟も殺し体制を築いた彼の胸中は?
重庵の転々
山田重庵 土佐に生まれ医師ながら伊予伊達の家老にまで上り詰めるが激しすぎる政策で失脚し余生を奥州伊達で過ごす ひとの世では正しくても受け入れられないことがある
城の怪
腕に自信はあるが仕官が難しい男が関係を持った美しい鍋売女の声に従い幽霊退治をするが裏切られて死ぬ ユーモラスな話
貂の皮
脇坂甚内 凡庸だが誠実に秀吉に仕えた男の生涯 最後は家康に寝返り生涯をまっとうする 戦国を生き抜いた経験は積まれていた

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