2024年9月15日日曜日

冤罪


藤沢周平先生
これは良かった 今までの先生の作品集の中でもワタシ的にはベストかも 人情、ユーモア、リルな厳しさ 多彩でキレのある作品群 素晴らしい
どれか一つとなると傑作揃いで迷うけどユーモラスな「臍曲がり新左」をとる 胸がすっとして自分もニヤリと笑っていることに気づく

証拠人
士官に必要な高名の覚え書きが古すぎて書いた男の証明を求められ探し当てるが死んでいた 虚しさの中百姓だった男の妻と暮らす道を選ぶ
唆す(そそのかす)
一揆に加担したとされ藩を追われ 江戸で庶民に慕われながら気ままに暮らす男 ふとしたことで商家の米の買いだめを知り町人をそそのかし米強奪騒動のきっかけを作る 人を操ることに快感を覚える男
潮田伝五郎置文
若い頃から想っていた友の姉が不倫していると知り相手の男と果たし合い殺し自らも腹を切る 女は果たし合いの理由がわからず男を恨む(冷たい小品 こういう味もあるんだな )
密夫の顔
江戸詰の間に妻が不義の子を妊り、犯人を突き止めようと親友を疑う男 やがて薬売りに暴行されたことを知るが許し妻と生きることにする しかしもうもとへは戻れない
夜の城
鷹に餌をやる役職の男は記憶を失い仕事を続けていたが実は幕府の隠密で藩の秘密を探りに来ていて、藩もそれを知り偽の妻をあてがい仲間が動くのを待っていた 男は記憶を取り戻し妻とともに逃げる
臍曲がり新左
皮肉屋で嫌われ者の豪傑とそのため婚期の遅れた娘といい仲の隣家の若者 豪傑は藩で不正を働く家老を切ってしまうが若者がうまく処理し娘との仲もすすむ その様子を苦々しく思いながらもニヤリとしてしまう
一顆の瓜
悪妻の愚痴を聞きながら飲んだ帰りに 襲われていた娘を救い半の後継者争いに巻き込まれる 無事役目を果たすが褒賞は瓜一つで妻との厳しい毎日に戻る
十四人目の男
若い叔母が三度目の嫁ぎ先で夫の連座で死罪となる 徳川直属の14家の一人として幕末の尊王への対抗だった 最後の一人の抵抗を見届け乱心として切る
冤罪
勘定方の貧しく実直な男が横領で腹を切ったことを不審に思い真相を暴くものの公にできず 生き残り農家に引き取られた娘の婿になる道を選ぶ

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