2024年11月11日月曜日

老人のための残酷童話


すごく久しぶりの倉橋由美子さん
コンプしたつもりだったけどふと気になって調べたらまだ未読があったので借りてみた

倉橋ワールド全開の楽しくいやらしい短編集
深いのか浅いのかわからないが童話と思ってサラッと楽しく読めば良いのだと思う
どれかを選ぶなら最初の「ある老人の図書館」がすごく鮮烈だった 百年の孤独のラストを思い出した 目に浮かぶようなラスト 「地獄めぐり」はラストのオチもいいけどいろんな地獄が楽しい


ある老人の図書館
地下へ向けてヘビのようにとぐろを巻く一本通路でできている図書館の本をすべて読み尽くし食べ尽くし死んでいった老人の体は 無数の文字と化し風とともに去ってゆく 百年の孤独を想起
姥捨山異聞
老女と夫婦の3人暮らし 夫は鬼のようになった母の老女を山に捨てるが戻った夫は鬼で密かに人を殺し食っていた 嫁はその夫と激しく交わり寝ている隙に殺しその肉を食い鬼となる
子を欲しがる老女
研究に明け暮れ処女のまま老いた老女が子どもを欲しくなる そこにサラリーマンのような全能の神が現れ老女と交わり妊娠させわずか3日で腹を破り出てくる 
天の川
中国 武帝の命で天の川探索にでた男 厳しい旅の末牽牛と会い橋を渡り織姫と会い交わる 不死の二人に愛はなく 再び牽牛と会うと彼は自死する 外界では星の変化が見えるが武帝は言い伝えを変えないよう司馬遷に命じる
水妖女
誰もが知る老いても信じられない美を維持する老女 姿を消すが各地で現れ触れると死ぬ水を吐き出し死んでいく 仙人を自称する男は彼女を仙人と言う
閻羅長官
仮死状態を繰り返し生きながら地獄の閻魔として働くことになった老人 閻魔に専念するため死ぬこととし妻に同行を求めるが拒否され激高し絞殺 裁判で死刑を求めるが叶わず裁判官に暴言を吐き怒った裁判官は死に地獄で閻魔代理となる
犬の哲学者
自らを犬と称し犬のように振る舞う哲学者の老人 食べ物を請い数多くの女と犬のように交わるがやがて犬として死ぬ
臓器回収大作戦
臓器移植された人間はどちらの人間か?脳移植ならどうなるか?冥界では移植して死んだ人間の鬼籍の確定についての判断を放棄し死人の受け入れ自体を拒否する 
老いらくの恋
えらい老師が盲目の美女せんに恋をして交わり死ぬ
地獄めぐり
死後に天国へ行くか地獄へ行くか選択出来るため事前に見学のツアーが組まれている 夫はツアー後どちらへも行かないことにするが妻が勝手に夫の契約をしてしまし戦争地獄へやられる 「現世のどんなサラリーマンも経験したことがないほどの極限的なストレスがかかる」 不安地獄って面白いね

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