孤独な島を愛してやまない哀しい男の現在と過去が丁寧にきめ細かく描かれまさしく 北欧ミステリーの世界にどっぷりつかれた
イェルロフじいさんが主人公、1作目の犯人が仮釈法で出てきて じいさんと話すシーンが印象的だった 恨みが薄れていってくれたら楽になれるんだな
四作品を読んだ感想としては一作目がずば抜けてたように思う 北欧の哀しい空気感とミステリの謎解きが絶妙に混ざり合った傑作だった あとの三作品はどれも超えるのは難しかったように思う、十分面白かったけどね
テオリンの邦訳はこれが最後、そもそも作品自体少ないようで残念だが楽しめた
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イェルロフは肚を決めた。
「あんたを憎んでるかと尋ねたな。わたしが思うに、ここで太陽の下に座って、人生も終わりに近づいたいま、人を憎んでおったら哀れだな」
男がうなずいた。おそらく、ほっとしたのだ。彼は立ちあがり、庭を見渡した。
「来たのと同じ道を通って帰ります。古い風車小屋・・・・・・・そして墓標の横を」
「どちらもまだあるな」イェルロフは言った。
彼が手を振ると、訪問者は去っていった。