2012年4月30日月曜日

孟嘗君


宮城谷さん。
全5巻の大作ですが、小説っぽい作りでかなり読みやすいです。
最初からどたばた活劇系でミステリーっぽい要素もあるし、飽きさせません。
ただ主人公は半分以上孟嘗君の養父である白圭ですね。
晏子は、父の晏子が死んでから本来の晏子の話に移行しますが、本作はほぼ白圭の死と同時に終わるので、タイトルは本当に「白圭」で良かったかもしれません。
まあ、孟嘗君を描きたいからその父の白圭を描いたのでしょうから主題はあくまで孟嘗君なんでしょうけど。

で、孟嘗君ですが、とにかく明るく人を引きつける人であったようです。
他の宮城谷作品の主人公のような知恵とか勇気とかといった人物とは少し違った感じです。

宮城谷さんはいろんな歴史上の人物を描いていて、皆すばらしく知恵のある人だけど、私は後から思い出しても実は内容をよく覚えてなかったりして(混同かな?)、それは多分みな似たような感じだからだと思ってましたが、違いますね。
孟嘗君も晏子も偉大な人だけど、違う。宮城谷さんはきちんと書いてるんだろうけど、私がよく理解できていなかったんですね、この作品を読んでそう感じました。

しかしそう考えると、司馬遼太郎もおなじく人間を描き続けたわけだけど、読んだ本の内容は大体覚えてるし人物像も頭の中に大体は浮かびます。
司馬遼太郎って大村益次郎みたいな変人も愛すべき人物として描いていて、そういうところはちょっと宮城谷さんと違うのかな。
もちろん私の宮城谷さんの読み込みが不足していることは間違いないと思うけど、作家としては司馬遼太郎が上なのかなと、まあ上も下もないことは承知の上で、思ってしまいました。


本作は実は結構前に大部分読み終えてましたが最後の20ページくらい残していたのを読み終えたのがつい先程でした。
今本格的に呼んでるのは永遠の〇です。結構前に予約していた本。すごく面白いです。
でこのあとの本ですがやっぱりもう少し宮城谷さんを読むことにしようかな??


2012年4月15日日曜日

鬼の跫音


道尾さんですね。
今は宮城谷さんを主に読んでるんですが、宮城谷さんの次の作品までののつなぎ用に借りていたものです。晏子と孟嘗君の間に読みました。

面白かったです。
短篇集ですが、道尾さんが凝縮されてて、道尾さんのエッセンスという感じ。
それぞれ、ちょっと膨らませれば長編になりそうな話を短編ですっきり仕上げていて、読んでてちょっと得した気分も。

あと、この人の文章はうまいですね。
今まで読んでてもあまり感じませんでしたが、純文学っぽいうまさがあるように思いました。
力のある作家だなあ。

2012年4月8日日曜日

ふくべ


今日床屋に行ったのでまたふくべに行って来ました。
今日は久しぶりにみそを食べました。最近は広東麺が多かったんで。

いやあ、うまかったです。
もやし大盛りはふくべの原点ですけど、味噌はやっぱり絶品だなあ。
頑張ってもやしを片付けた後のスープがなんとも言えず美味い。
クセになりそう(なってるか?)。

しかしその後の匂いに参りました。にんにくすごいです。
服も車も。
車の窓は数時間開けておかなきゃダメですね。

晏子

宮城谷さん、昨日読了しました。
父子を描いているのが面白いですね。
子供のほうを書きたくて調べているうちに親から書かざるを得なくなったようですけど、読み手としては二人を対比して読めて面白い。
晏子は知恵の人というよりは誠実さの人ですね。しかもかなりの豪速球。こんな人がいたんだなあという感じです。私もこんなふうに生きてみたいです。
小説としては父親が死んでから子供のほうが活躍しだすまでの間が面白く無い、読み進めるのがしんどかったです。丁度3巻目ですかね。
宮城谷さんの小説は細かく史実を追っていくような部分があって、小説としては必要なのかもしれませんがちょっと退屈。この小説はその部分が長すぎるような気がします。
そういう部分にも面白い話はたくさんあるのですが、「晏子」という主人公が出てこないとやはりあまり面白く無いです。
その点、「楽毅」はすごく面白く読める小説でした。宮城谷昌光さんの作品の中にもやはり出来不出来はあるんだなあと思いました。

2012年4月1日日曜日

ピアノの森


当然前から知ってましたが、昨日今日と読んでびっくりしました。
面白いです。
こんなに面白かったんだなあ。

テーマと絵がよく合ってるような気がします。すっきりした線で神経質でなく、いい漫画の絵です。
内容的には登場人物それぞれの悩みや喜びが丁寧に描かれてます。今は18巻ですけど、雨宮と父親の、特に父親の心理が良いですね。
そう考えると少年期と比べて今はカイの周りの人々の話になってるようにも感じますが、そうであってもかまいません、十分に面白い話です。

私はクラシックファンなのであまりクラシックに詳しくないような作者だと嫌でしたが、そういう点でもまあまあですかね。
ただし、雨宮と再開してカイが弾くのがリストの鐘ってどうなの?あれってただの超絶技巧系でしょ。ピアニッシモの美しさを聴かせるという設定ではありなの?
あと、カイがコンクールで勝ったあとオケと弾くのがラフマニノフの3番というのもありかな?無理でしょ??

文句ではありません、十分面白かったです。