2012年2月29日水曜日

バイバイ、エンジェル


笠井潔さんです。
昔から読みたいと思ってましたがようやく読めました。

重厚な文体ですが意外と読みやすい、綺麗な文章です。
展開はじっくり、最初から登場人物が多くてわかりづらい部分もあります。
純粋に推理を楽しむ部分もありますが、動機というか背景というか、そっちの方が読ませますね。

哲学的というほど哲学的でもないような気がします、主人公が魅力的な普通のミステリーです。
しかし他の作品も読むかどうかは微妙ですなあ。

2012年2月27日月曜日

ぎっくり腰


またやってしまいました。
昨日雪かきで。
ここのところずっと右肩が痛くて、右脇腹の方まで痛みがあったんですが、気にせず雪を投げてたのが悪かったんだと思います。
家に入ってから中腰でピザを切ってたら腰が伸ばせばくなってきて、それからずっとだめです。
ピキッっという感じはなかったけど、これだけ痛いんでやっぱりギックリでしょうね。
仕事中も結構辛かった。
しかし最近は何とか仕事には行けるから助かるな。
っていうか本当は休んでゆっくりしてたほうが良いんだろうけどそういうわけにもね、いきません。

早く良くなってほしい。

2012年2月26日日曜日

惣領冬実


チェーザレという作品が気になっていて、まだ未完のようだったのでとりあえずこの作者の ES -Eternal Sabbath- という作品を読んでみました。全8巻。
一気に読みました。面白かったです。ちょっと、というかかなり吉田さんの夜叉に似てますね。
面白かったけど、もの足りない部分も沢山。
多分メインテーマが大きすぎて、まわりが書けてないんだと思います。
メインの二人の人物像は設定上掘り下げれないけど、周囲の人はもっと書けるはずだし、ヒロインの生い立ちなり周辺をもっと書くことで深みが出てくるんだと思います。
吉田さんの夜叉には主人公以外にも魅力的な人物が多数配置されていて外伝がいくつでも書けそうな広がりがあった。
ワンアイデアストーリーに近くて、そこがちょっとですね。

とはいっても絵の力は結構あると思うし楽しみな作者です。
実はチェーザレも最初の2巻を読んでみたけど、こっちは実に面白い。上で書いたようなことは十分すぎるくらいクリアされていて、先が楽しみな作品でした。

2012年2月22日水曜日

わが手に拳銃を


高村薫さんです。
出だしの一行から高村さん、グッときましたね。
この人の文章は良いなあ、硬く乾いてるのに人間が行間に見え隠れする。
私はこの人の小説を読みたいんじゃなくて文章を読みたいだけなのかもしれないなあ。

前半のハイライトは倉庫に行く場面ですね。「これは君の心だな」なんてセリフが得体のしれないギャングからどうして飛び出してくるんだろう。火をつけられてから脱出までの描写の生き生きとしていること。素晴らしい。
それに比べると後半はちょっとゆっくりかなとも思うけどラストにかけては疾走しますね。
エピローグは無くてもいいかな。スカっと終わりすぎ。これじゃアクション冒険小説だな。

私としては李歐を読んでるので再読ですが、ほとんど記憶になかったのですごく楽しく読めました。
高村薫はいいですねえ。
しかしどうして女性にこんな男の話が書けるのかずっと不思議だったんですが、考えたらボーイズラブ系のマンガって多分女性の漫画家ですよね。
小説も同じってことかな....

2012年2月21日火曜日

ヴィンランド・サガ


幸村誠さんの漫画です。
文化庁なんちゃらの賞を取っているので前から読みたいと思ってましたが、ようやくこの土日で読めました。

魂を揺すぶられるような感動を覚えました。
ちょっとおおげさですが、8巻は感動ですよ。人間の誇りというか尊厳みたいなものを感じますね。
戦いの話で、戦争肯定的な感じもありますけど決してそうではなくて、要するに歴史を描いてるんですね。
人間同士のぶつかり合い、殺し合い、愛、テーマは壮大ですがとにかく読んだ範囲では面白いです。
これからどうなるのか心配ですが、長く書き続けてほしい漫画です。
幸村さんがんばれ。

2012年2月15日水曜日

月と蟹


道尾秀介さんです、さっき読了。
直木賞取ってたんですね、これが受賞作。
もうホラー系のミステリー作家というカテゴライズは許されませんね。
立派な作品でした。

ゆったりとしたテンポで話は進んでいくのでどんどんページをめくるという感じではないです。子供のころのことを思い出しながら心理のあやみたいのを楽しむのが前半、というか3分の2くらいまでですかね。
後半にかけミステリーっぽいドキドキ感が出てきて盛り上がりますが、結構静かに収束します。
余韻を楽しめる、落ち着いた、しっかりとした作品でした。

田舎の子供たちの秘密の遊びという建てつけは平凡です。虐待とか再婚とか、細かいテーマも平凡。それを一つの作品にまとめ上げたのがプロの作家の力なんですね、ミステリーを手掛けてきた手法も生きてるんだと思います。

私はホラーは嫌いですが、この作者の本なら読んでみようかな???。

2012年2月12日日曜日

眠りの森


東野さんの加賀シリーズです。
ラストでびっくりですね。ちょっと別な意味ですけど。

推理小説として読むとあんまり。話が入り組み過ぎだし切れが良くないし。
海外での過去なんて設定もちょっと反則っぽい。
しかし加賀シリーズとして読むと面白いし特にラストはものすごく意外。
意外感を出してスパッと終わる辺りが面白い。

このあとの加賀シリーズはどうなるんだろう??
ところで東野さんは何を書きたかったんだろう。
推理ものの限界を感じて人間ドラマっぽい仕立てにしだしたのはこのあたりからだったのかな。

続編が読みたいと思わせる作品でした。

いとう食堂


昨日の土曜日、行って来ました。
最近麓郷舎にも飽きてきてここに来たくて仕方なかったんでやっとです。
昨日は12時前の時間帯を狙いましたが、店の前に車はなく、店内も客は一人だけ、ビンゴでした。

しかし相変わらず店は汚いですね。というかいたるところベトベトしてます。まあこういう店だから仕方ないけど。
で、お約束のミソ野菜です。
まあ何度も食べた味なので当たり前ですが期待通りの味で満足です。
味と言うか、野菜の量ね。
ここの野菜は人参とかきのことかも入ってて、とにかくもやし系の他のラーメン屋よりは良心的ですなあ。
昔新琴似にあった京龍を思い出した。あそこは白菜中心だったかな、それにいろいろな野菜が入っていたような(昔のことなので自信ないけど??)。
いとう食堂はキャベツ中心なあたりが特徴ですね。キャベツは炒めるとへたってしまって食感は悪いけど、慣れると美味いですね。

食べてる途中で少し胸が悪くなってきて完食無理かなと思いましたが何とか食べきりました。
そのあと万代で立ち読み。
立ってるの結構きつかった。まだまだ俺も若いなあ。

2012年2月8日水曜日

どちらかが彼女を殺した


東野さん、加賀シリーズの三作目です。
読んで驚きましたが最後の謎解きがないです。

なんじゃあこれはあ!!

ネットで検索してわかりましたが、私の読んだ文庫版には袋とじの解説があってここに書いてありました。
私はカバーをかけて読んでるんですが、普通の解説ではないのでカバーの内側になって気がつかなかったらしい。
まあ私の不注意ということでもいいんだが、しかし謎解きのない推理小説なんてものがあるんですね。
そのことに驚きました。

しかし私は認めませんね、こんな本は。
こういうのはナシだと思います。
推理だけを楽しむお楽しみ系の本ならありかも知れないけど、小説としての形態をとるのならナシだと思う。そうならそうと本の表紙でも前書でもいいから断っておくべきだと思う。そうなってたら読まなかっただろうから。

ということでこの本はだめですね、本にすらなってないと思う。
肝心の推理のほうも何となく切れが悪いです。
利き手のテーマも推理のための推理という感じで不自然だ。
推理ファンにはこういうのが受けるのかなあ???

それはそれとして、
どうも初期の東野さんは本格推理系で、人間ドラマ系ではないようですね。
誰が殺したかの謎解きがメインで、なぜ殺すにいたったかの部分のウエイトが小さいような。
ミステリー系の楽しみ方として純粋になぞ解きを楽しむというのももちろんあるんでしょうが、私としてはそっちよりは人間ドラマを楽しみたいです。
東野さんがいまこれほどの人気作家になってるのもそこの部分が大きいと思う。
なぞ解きは推理小説フアンが好むんだろうけど、人間ドラマは小説好きな人ならほぼ皆好むだろうから。

東野さんを読むのなら最近の本がいいのかな?
しかし加賀刑事は好きなんだよなあ。阿部ちゃんハマりだわ。よみながら常に頭の中では阿部ちゃんがオーバーラップするんで。
とりあえず加賀シリーズは全部読みたいんだがどうしよう。

2012年2月6日月曜日

七夕の国


岩明均さんの漫画です。昨日いつもの満喫で偶然見つけました。寄生獣、ヒストリエとは全然別の棚にあった。満喫って作者順じゃなくて出版社順なのね。

内容的には伝記系のSFです。古代との絡みがでてきて私はこういうの大好きですが、全体的には今ひとつかな。
ちょっと人が死にすぎるし。
ラストも予想内だけど、すっきり感はないですね。
作り方によってはもっと面白くなったような気もするんだがなあ、半村良さんにでも書かせればわくわくどきどき系の物語になったような気もする。

時間がなくてかなり飛ばし読みだったからじっくり読めばまた印象違うかもしれないけど、まあそんな感じです。
それよりもこの作者はヒストリエですね。
面白いわ。

2012年2月3日金曜日

GoToTheRiver


「最後から二番目の恋」の挿入歌です。
ヤエルナイムさんというパリで活動中のイスラエル人の女性が歌ってます。

一度聴いたら頭にいつまでも残ってしまうようなポップでエレガントなメロディーが抜群です。
しかしそれ以上に詩が秀逸。
ネットで詩を調べてその素晴らしさに感動しました。

この曲のビデオクリップも見て見ましたが、彼女にとっての川って湖みたいなもののようです。
イスラエルの川ってあんな感じなの??
river という言葉のもつイメージも国によっていろいろなのかなあと考えさせられました。

そんなことはどうでもいいとしてもとにかくいい歌です。
この曲が入っているアルバムも完成度高いと思います。
オススメです、日本でもブレイクしないかな。

卒業


東野さんの加賀シリーズの第1作目です。
初期の東野さんらしい作品。
きちんとした推理小説になってるけど人間ドラマとしては今ほどではないという感じ。

推理小説としても、殺人の動機は今ひとつだし、カードのトリックはわかりづらいし、というか殆ど何がなんだかわからないし、鍵のトリックも反則じゃないか?という感じで、全体に点数低いと思いますね。

加賀くんのプロポーズの結果が最後まで気になったけど残念だけで終わるのってどうなんだろう?
もっと色々無いのかな???
加賀シリーズの記念すべき第1作目という以上ではないと思う。

2012年2月1日水曜日

カラスの親指


またまた道尾さんです。
今日の朝の通勤で読み終えましたがまたまた見事にだまされました。
この人どうやって物語を作るんだろう。天性のストーリーテラーなんだろうか。

今回の作品は設定は普通です。向日葵やシャドウは子供の目を通して描かれていてちょっと特殊なフィルターがかけられているような感じだったけど。
日常からちょっとだけ距離を置いたところで物語が進んで行って入りやすい話です。
前半分くらいはそんな感じでほんわか進みますが、残り100ページくらいがすごい展開ですね。一気に読ませられた(文法間違ってるか?)。
なんといっても向日葵やシャドウと違うところは人間の人情の話になってるところかな。
テーマがはっきりしててわかりやすい。その分説教臭いところもあるけど、読んだ後もだまされた爽快感とホロっとした部分とが味わえて、何とも良い感じになれます。

しかし、しかしなんだが、この作者は人が書けてないような気がする。
東野が書けてるとしてこの人は書けてない。差がどこにあるのかはわからない、正直言って。私が変なのかもしれない。そうなのかな??

たとえば赤い指のラストの加賀と父親の関係にはぐっとくる、思わず加賀に感情移入してしまうと同時に父親の気持ちにもなってしまう。犯人のオヤジが最後に白状するあの場面で思わずほっとする、ちょっとだけオヤジの気持ちになってしまう、そういう部分がこの作品には無いんだなあ。
テツさんが親指なんだなあとわかってもテツさんには感情が入っていけないしタケさんにも入れる場所がない。
私だけなのかもしれないけど。

というわけで、この作者はすばらしい、力量十分。でももう一つ欲しいな、という感じですなあ。