2021年12月30日木曜日

日本国紀

 
私は百田さんのファンであり本作も面白く読んだのだが、その後の本書の修正新版の問題などを踏まえると感想をまとめるのが難しい。小説ならそんなことは無く、読んで感じたことを書くんだけど、本書は歴史書であり、創作で無い以上本当に「事実」なのかという問題を避けれないからだ。

百田さんは戦後我々に植え付けられた自虐史観、洗脳に対し警鐘を鳴らすことが目的だったようで、そこに至る歴史の細部は極論すると些末なことと捉えているようだ。
「日本はこうだ、こんな国は世界中探しても無い」という表現がすごく多い。日本は素晴らしいと書くだけなら問題ないけど、世界中探しても無いとまで書くと「本当か?」という問いが生まれるだろう。百田さんはそれを重箱の隅と片付ける人なんだと思う。
私は重箱の隅とは思えないので違和感がかなり残った。

百田さんが本書で批判している本多勝一は私が若い頃にはまった作家の一人で客観的な事実など存在はしないと書いてる。
今日が昨日という過去になった瞬間から輪郭はぼけはじめ、どんどん曖昧になっていく。だから記録する。しかし完全に客観的な記録などあり得ないしそこにウソや誇張が入るとさらに過去は多彩になる。
そうして作られた歴史から何を学ぶかはそれぞれの判断で正解は無いのだと思う。

繰り返すが本書は面白い。百田さんの作品はこれからも読みたい。でも出来れば小説の形で読みたいと私は思った。

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