2010年9月23日木曜日

沈まぬ太陽

昨日読了。
どうもまとまりの無い小説という印象で読み進めていたが、ラストは一応まとめてますね。
二度の挫折を味わいながらも辞めずにアフリカへ旅たつ主人公と、特捜部の捜査に驚愕するもう一方との対比は鮮やかなラストではある。
しかしやはりまとめ切れていない感も強い。

御巣鷹の事件がテーマとして大きすぎて、主人公の生き様がかすんでしまうんだと思う。的をどちらかに絞ったほうが良かったんじゃないかな。
また、ノンフィクションの要素も強いので、どうしても現在のJALの経営破たんと重なってしまって、主人公に集中できない部分もあった。
ラストも、ラストの絵としては作者の予定通りなのかもしれないけど、読者としてはこの先がまだまだ読みたい、消化不良感が強い。
あと細かい挿話が多い、主人公の娘の結婚話とか、行天の息子のこととか、その他もろもろ、中途半端に終わる挿話が多すぎないかな。すごく気になる。この作者はこういった書きかたをする人なんだろうか。
女性作家ということで、無意識に高村薫的な骨太な社会派的なものを期待していたが、読み終えてみると女性的な昼メロ調な作品だったようにも思える。特に悪者の腐敗振りを描くあたりが生き生きとしすぎていて、しかしどこか重みが無く、そういったあたりが昼メロ調な訳だけど、この作者はこういった部分が得意なのかなとも感じた。

ネットで調べると、この作品は賛否両論っぽいですね。
純粋なフィクションとしては面白いけど、やはりテーマが現実と重なりすぎていて、そういう意味では単純に楽しい小説ではすまないのかもしれない。そもそも作者の描きたかったことって何だったんだろう、よくわからなかった。
他の作品も読んでみたいですね。

というわけだが現在、野沢尚の「深紅」という作品を読んでいるところ。図書館で衝動借した本です。とりあえずこの本を読んでから山崎さんの他の作品を読むことにするか。

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