2012年2月1日水曜日

カラスの親指


またまた道尾さんです。
今日の朝の通勤で読み終えましたがまたまた見事にだまされました。
この人どうやって物語を作るんだろう。天性のストーリーテラーなんだろうか。

今回の作品は設定は普通です。向日葵やシャドウは子供の目を通して描かれていてちょっと特殊なフィルターがかけられているような感じだったけど。
日常からちょっとだけ距離を置いたところで物語が進んで行って入りやすい話です。
前半分くらいはそんな感じでほんわか進みますが、残り100ページくらいがすごい展開ですね。一気に読ませられた(文法間違ってるか?)。
なんといっても向日葵やシャドウと違うところは人間の人情の話になってるところかな。
テーマがはっきりしててわかりやすい。その分説教臭いところもあるけど、読んだ後もだまされた爽快感とホロっとした部分とが味わえて、何とも良い感じになれます。

しかし、しかしなんだが、この作者は人が書けてないような気がする。
東野が書けてるとしてこの人は書けてない。差がどこにあるのかはわからない、正直言って。私が変なのかもしれない。そうなのかな??

たとえば赤い指のラストの加賀と父親の関係にはぐっとくる、思わず加賀に感情移入してしまうと同時に父親の気持ちにもなってしまう。犯人のオヤジが最後に白状するあの場面で思わずほっとする、ちょっとだけオヤジの気持ちになってしまう、そういう部分がこの作品には無いんだなあ。
テツさんが親指なんだなあとわかってもテツさんには感情が入っていけないしタケさんにも入れる場所がない。
私だけなのかもしれないけど。

というわけで、この作者はすばらしい、力量十分。でももう一つ欲しいな、という感じですなあ。

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