2012年8月14日火曜日

太公望


宮城谷さん、さっき読了。

「人の力ではどうしようもない力がここにはあり、それに屈するというより、それに同化してみると、自分というさわがしいものを棄てることができる。~ひとつのことは、かならず両面があり、人為を押し通しつづけようとすれば、一面しかみえず、人力を超えた巨大な力にさまたげられたり破壊されたりする。人など、じつは無力にひとしい」
「望はことばの角をけずったようないいかたをした」
言葉の角を削るって難しいですよね、私も50歳にしてまだぜんぜんダメです、反省。

この物語は壮大な復讐譚として描かれるけど、そんなに単純ではなく、特に後半は複雑さを増します。多分後半は太公望というタイトルでは描き切れないものを作者自身が抱えてるんでしょう。
作品全体としては、物語性と歴史性が見事に融合した感があって、歴史性が勝る後半はちょっと登場人物が多すぎてわかりづらいが、それでも最後まで物語性が失われてなくて、見事な作品だと思います。
私が今まで宮城谷作品を読んできた印象としては、宮城谷作品は物語系と歴史系にわかれるなあというものでしたが、この作品はこの両者が融合されてます。宮城谷作品のベストじゃないかと私は思いますね。
春秋時代に入る前の圧倒的な強者に向かって戦いを挑むというテーマ自体がなんとも面白すぎるのかもしれない。

しかし商の時代は春秋時代より面白いな。ココらへんの作品をもっと読むか???

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