2021年7月30日金曜日

模倣犯


図書館が閉館していた間のつなぎとして買った宮部さんの文庫全5冊
実は読書サイトのソロモンの感想で模倣犯に匹敵するって書いてた人がいて、私はソロモンは宮部さんの最高傑作に違いないって勝手に思い込んでいたので、匹敵って事は模倣犯が上って事になるのか?とちょっと絡むような考えも湧いてきてこれは読まなきゃなと思っていた

で、私としてはやはりソロモンには及ばないと思ったけど、量の問題だけでなく読みごたえ十分で傑作と言えると思う
宮部みゆきはとにかく登場人物の書き込みが精緻だ
本作は事件を表と裏から描く重層構造になっていて加害者側と被害者側の事情が詳細に描かれ様々な人間、考え方が描かれていく

本筋とは関係ない事件を一つ配置してそこの被害者と加害者を描くことで複合的な構成でもあるが、これが物語の進行に伴い重要性を増していく

被害者の祖父が人間としての良心の表現だろうか
ラストの号泣を抱き留める別の被害者青年の成長が本作の救いか?

ジャーナリストの卵の女性も良い、彼女の視点だけでも普通の一冊の小説になったのではないか
ソロモンには及ばないが普通に傑作と言って良いと思った

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