2012年12月20日木曜日

一絃の琴


宮尾登美子さん。初めて読みました。直木賞受賞作。
読み始めは文章が硬く感じて読みづらいし地味すぎるし何だかなあという感じでしたが、美代さんの妊娠のあたりからグワングワンしてきます。
しかしあくまで物語は抑えて進みます。
そして読み進むうちに文章にも馴染んできて、そうなるとなんとも品の良い格調高い文章に思えてきて、そこで淡々と語られる物語にどっぷり引き込まれていきました。

しかし苗の話かと思って読んでたら苗と蘭子の話なんですかね。しかし蘭子の死の描写のなんとも冷たいこと。苗も死に際は第三者の視点でしか書いてもらってないし。
と考えると主人公はやはり琴なんでしょう。
そうそう、雅子さんもいつ出てくるのかと思って期待して読んでたら最後まで出てこないし、せっかく伝えた漁火はどうなったんだあ。

そういった部分はなんというか未練なく骨太ですね。
最後に印象として残るのは人間ではなくて琴にかけた人間の執念みたいなものだけかな。
面白かったです。オススメ。
この作家は読まかければいけませんなあ。

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