2013年7月3日水曜日

八日目の蝉


角田光代さん、この作者もブクログで見つけた。人気作家らしい方の作品は一応目を通そうと借りた本。

出だしは陳腐すぎ、子供が生めない女性の赤ちゃん誘拐っていまさらだなあ。
正直読むのがしんどいなあと思いながらだったけど、半分くらいのところでガラリです。
誘拐のあと、これをを書きたかったんだね。
こういう作品の視点が新しいのかどうかはわからないけど、私としては新鮮で面白く読めました。

しかし読み終えて振り返って、作者は何を書きたかったんだろう?私としてもやもやしてます。
前半は誘拐逃避行、視点は希和子さん、何故犯行に及んだか、どう苦労して逃げ続けたか。
後半は薫、戻ってからの違和感・苦しみ、再生まで。そして希和子との一瞬の再開は希望で終わってる、多分。
こう見るとこの本は希和子と薫の二人の物語で、心の闇を抱えた二人の、犯罪に走った一方と再生に向かう他方の生き方の対比の物語と言うことかな。
他の登場人物たちも何らかの闇を、傷を抱えていて、そういったものを抱えながらも何とか生きて行く人間の姿を描きたかったとか?
しかし蝉の話はこのこととどうつながるんだろ???

重たいテーマを正面から書く作者さんですね。
終盤で薫のことばに小豆島なまりが戻る部分で、不覚にもうっとなった。止まっていた時間がまた流れ出した瞬間。
蝉って何年も土の中で暮らして地上に出て数日で死んでしまうことを人間は哀れと見るようだけど、土の中の暮らしって意外と快適なんじゃないかなと思った。象は死ぬときに自分で墓場までいくそうだけど、蝉にとってはその墓場が地上、って可能性もあるよな。

人気作家だけのことはあるな。違う本も読んでみるか。

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