2013年8月29日木曜日

あの川のほとりで


アーヴィング、さっき読了。
微妙、面白いけど退屈な部分のほうが多かった。
ほぼ二週間、読むのに時間かかった。

村上春樹が書いてたと思うけど、小説というか、文章といっていいかもしれないけど、読み飛ばす部分とじっくり読ませる部分、メリハリというかリズム感というか、そういうものが大事だと。
そういう意味で読ませる部分はアーヴィング先生、さすがに面白く読ませるんだけど、読み飛ばしてもいいような部分が異常に細かくてついていけないというか入っていけない。
この細部の細かさはまさにアーヴィングの特徴だけど、本作はちょっとひどすぎる、と感じた。
細部はそれぞれ意味があって、いろんな複線になってるんだろう(たぶん)けど、読者にそこまで読み込ませるのは酷じゃないか?何度読み返しても新しい発見がある、的な小説を狙ってるのかもしれないけど、何度も読み返すにはまず一回読んで十分面白い必要がある、そういう理屈抜きの面白さには徹底的に欠けていると思います、本作は。

読んでいてすごく気になったことの一つが、同じ人物が複数の名前でかたられること。コック・クッキー・ダニエル・バチャガルポ・ガンバ・ポップ、全部同じヒトだが、場合に応じて使い分けるのはまああるけど、同じページの隣り合ったセンテンスで同じヒトを別の名前で書くのってどうなんだろう?私は最初こんがらがって意味がわからない部分が結構あった。登場人物表でもないと読めない、読者に対してあまりに不親切なんじゃないか?
終盤、一つ一つの文で悩む主人公(作者自身?)が描かれるが、作者は身を切るようにして文を搾り出してる、当然読者がどう考えるかを考えに考えて文をつづってるんだろうけど、ちょっと自分中心になってないか?自分の感性にぴったりの文にこだわっていて、読み手の感覚を過小評価していないか?
その文章がただの書き飛ばしなのか何年もかかってひねり出したものなのか、読者には全く関係ない、わかりやすくて面白ければそれでいい。そこらへんの感覚がアーヴィング先生どうなのかな?
いろんな印象的なシーンを印象的な人物でつなぎ合わせた小説だけど、うまくつながってない、と感じました。

あと、翻訳も読みづらい原因かもしれない。妙に直訳調で、英語表現的には普通なのかもしれないけど日本語に直訳すると語順がひっくりかえって回りくどくわかり辛くなったりする、そういう訳だった、と思う。
まあ翻訳ものってそこらへんは難しいんだろうけど。文学作品だから、言い回し一つとっても、本来変えるべきではないのだろう、しかしあまりにわかりづらい日本語だとなあ。

でもまあ、既にこのあとも新作はあるようなので、出れば読みますけどね、アーヴィングですから。

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