2014年6月26日木曜日

山姥


坂東眞砂子さん、4月の朝日の書評で名前を見て、早速「隠された刻(とき)」ってのを予約しましたが、まだ少し時間がかかりそうなのですぐ借りれる文庫版を探して借りた本。でも直木賞受賞作でした。

さすがは直木賞受賞作、面白いです、ものすごく。久しぶりに物語の世界にどっぷりはまりました。しかし3分の2くらいまでは重たくゆったりとした展開で、ちょと退屈。この重たさは最後まで変わらないんですが、ラストの大円団を経て全体を振り返ると、すごく面白い物語だったといわざるを得ない作品だったってことです。

雪に閉ざされた山奥の閉鎖空間という設定は時代感も不明で現代っぽさは全くなし。
ふたなりという異形の人間を配していろんな伝奇的要素が絡んでくる、でも怪奇小説じゃないからきちんと種明かしはあるんだけど、それでもやっぱり「山の力」として片付けざるを得ないような不思議な現象も配してあり、「物語」としか言いようのない世界になってる。
こうして「物語」として割り切れば、様々な事柄が一本につながっていく不自然さもそれほど気にはならなくなるし、ラスト、一気に幸福に転じて直後に破滅する展開も自然な成り行きとして受け入れることが出来ると思う。

文章は読むづらいわけではなけど読ませる文章でもない。引っ張られる感じは無くて、ちょっとつまらない部分もあることは事実。
しかし面白い、すごく面白かった。

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