2010年6月14日月曜日

エデンの東

確か読了は6月9日だったと思う。感想書くの忘れてた。

途中なかだるみっぽい感じもあったけど、見事に収束しますね。
よくある人間の愛憎劇と思ってたけど、まあそういう面もあるけど、そうではなくて旧約聖書の罪に対するスタインベックのひとつの回答だったんだね。非常に真剣に苦悩して作られた物語という感じもします。

親子の愛、兄弟の愛。罪と罰、善良さと邪悪さ。相反するものがひとつのものとしての人間に包含されているわけですね。
キャルがなんとも可愛そうでジェームスディーンとかぶると時にぐっと来る。アブラも悩みを抱えた人物で救いを待っていたのかな。

不満といえば、キャシーの人間像がどうしてもリアルに届いてこないところ。純粋な悪として描かれていて悪のまま死んでいく感がある。
こんな人間はいないよな。人を殺しても、親殺しさえも何の感情も無く出来る、悪というよりはまさしく’怪物’として描かれている。いるのかな、こんな人間。
しかし現実に猟奇殺人の犯人などはこんな感じなのかもしれない。ある種の病気なのかもしれない、精神の、感情欠如みたいな。

「ティムシェル」については聖書論になるので我々にはいまひとつぴんと来ないわけだが、収束に向けた物語の伏線として、登場人物の行動の原因としては、うまく効いている、物語としてうまいなあと思った。
サミュエルとリーも、語り手としてものすごく良く効いてますね。長い話だけど、歴史を繰り返させながらも物語はゆっくりとラストに収束していく、その過程は見事。

スタインベックは「怒りの葡萄」もあるが、つぎはへミングウエイにします。「武器よさらば」。
再読だけど全然覚えていない。古典もいいかなと、楽しみです。

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