2011年4月23日土曜日

管仲


先日末っ子の授業参観があったんだが、黒板の上にクラスの子全員の顔写真が貼ってあって、そこにそれぞれ好きな漢字一字とコメントがあった。で、結構「仲」の字が多くて、「友」みたいな意味かな、良いな、と思った。
関係ないけど結構中国の人名には「仲」が入ってますね。
宮城谷さんの小説には人生が詰まってますね。舞台が孔子より前で紀元前、この時代の人々の行動が現代の我々の生き方にも大きな示唆を与えてくれる、それってすごいことだなあと思います、我々が如何に愚かかということかもしれないけど。
この小説に関しては管仲が小伯に弓を引くあたりがあまりに小説的すぎて本当かな、という感じだが、ドラマティックな要素が多いし、そもそも管仲の不遇の時代が長いから、日本人的には「おしん」的な楽しみ方が出来る本ですね。
あと、女性が描かれてますね。毒夫の様な文夾と奇燕。文夾は愛に生きた女なのかな、悪女なんだろうが一つの生き方として描かれてます。奇燕は最後に管仲との再会がありました。もっと描いて欲しかったけど、さらりとした辺りがこの作者らしくなんとも良かった。
宮城谷さんって、春秋なんちゃら等を精読して歴史をつかんで、それぞれの史実に人間としての感情をつけたして小説にしてるんだね。つけたした感情は宮城谷さんの創作というか推論というか想像なんだが、作家としては「こうにちがいない」という信念があるんだろう。骨に血と肉をつける作業といってもいいかな。
その、あとからつけられた血と肉にどの程度の説得力があるのか、それがこの小説に対する評価になるのかもしれない。
あとがきにもあったけど、多分管仲と飽叔の関係も多くは血と肉の部分なんだろう。
小説的には飽叔がより素晴らしい人間として描かれてますね。人間としても明るく曇りがないし、引き際も見事すぎる。しかし挫折を知り暗い側面を持つ管仲が歴史的には名を残すことになり小説の主人公にもなっているあたりが、私としてはちょっと?もある。もっと飽叔を読みたかったと思うので。
作者は飽叔を描いても良かったんだろうけど、描きたかったのはあくまで管仲なんだね、そこらへんも興味深いかな。
まとまらない感想だけど小説としても人間の書としてもかなり面白かったです。
で、次は「介子推」を読んでます。
図書館からなんとなく借りておいた宮城谷さんの本です。
冒頭はかなり物語っぽくて面白いです。

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