2014年10月31日金曜日

生きる


乙川優三郎さん、直木賞受賞の時代物短篇集
女性作家の華やかな受賞作を先に読み進めたが、この渋い短編集は未読だった

ずっしりと重たく品格を感じる筆は時代小説にふさわしく読んでいて安心感あり
この筆致で描かれる世界は全編通して暗いが、そこに人生の苦しさと一筋の光を凝縮している
視覚的に鮮やかなシーンが頭に浮かぶ小説たち
しかし、ちょっと暗すぎかな・・・

二作目が素晴らしい出来だと思う
テーマも短編としての切れ味のよさも、直木賞にふさわしい一級品
しかし表題作である家臣の殉死の話は、時代ものならではのテーマで、それゆえに普遍性は全くなく、現代に生きる我々はどう読めばいいのかどう考えても分からなかった
最後の短編も暗くて渋すぎ、共感は難しい

この作者の文体はすごく好み、他の作品も読みたいと思うが、この作品集が直木賞を受賞したことには疑問を感じます

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