2014年12月10日水曜日

遠い山なみの光


カズオ・イシグロさん
前回読んだ日の名残が気に入ったし、調べたら作品はあまり多くないようなのでコンプしようと借りてあった本

処女作らしいが、落ち着いたゆったりとした描写で、細部の書き込みが日の名残と比べるといまひとつと感じるけど、その代わりに、常に死がそこにあるような妙な緊張感が全編に流れていて、これはこれで読ませる
回想形式で、ある種のミステリのように読めるのは他の作品と同じ
翻訳モノ特有の日本語のつながりの悪さは感じず、これは翻訳者の力なのか作者のオリジナル英文の特徴なのかわからないけど、とにかく読みやすい

馥郁とした文学の香りをかぎながら、激しさを内在した静けさを楽しめた
傑作と評するのはためらわれるが、楽しく読めて十分満足だ

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