2014年12月13日土曜日

浮世の画家


カズオ・イシグロさん

過去を回想したときの自負、自信。
しかし結果として認めざるをえない過ち、悔恨。
年老いてもなおそれを乗り越えて前を向く清清しさ。
しかしひょっとするとそれらは全て本人の思い違いかもしれないのだが???

そんな世界を相変わらず美しい文章でゆったりと、そうかといって飽きさせることは決してなく、楽しく読ませてくれる作品ですね
設定は全く違うけど、日の名残とかなり似たテーマですね
ただし日の名残のほうがラストの切れはいいと思う
本作はラストにかけてちょっと書きすぎじゃないだろうか?
次女の結婚のくだりをすっぱりと書かなかったように、黒田とのくだりも書かないほうがよかったような
そういうあいまいな部分を残してくれたほうが本作としては良かったように思う

遠い山なみの光からずっと、谷崎の細雪を読んでいるような心地よさを感じながら読んだ
本作については小津の東京物語、笠智衆が随分主人公と重なった
日本にゆかりがあるとはいえ、日本語は話せないほどに英国人である作者がなぜにこれほど日本的な作品を書けるのか、不思議だ

コンプリートまでもう少し、早く読みたいような、とっておきたいような・・・・

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