2024年9月21日土曜日

ポセイドン変幻


赤江瀑さん
初期の作品集らしく妖しさに溢れたなんとも言えない短編たち
これぞ赤江さんなんだろうけど不思議な事件とその裏に隠された過去の怪しい秘密という、結構似たパターンになってるのが少し気になった まあ十分面白いけど
表題作がすごい 淫らで凄惨な船上のシーンが何とも言えない

恋牛賦
京都の寺の杉戸に牛の絵を描き自ら死んだ若い絵描きは 7歳の時牧場で暮らし母親が牛舎で牛と戯れているとき父が戻り火事になり 母は牛に突かれて死に父も牛を殺したあと死ぬ 子は牛にすがって泣くのだった
春猿
新進の歌舞伎役者と支える髪結いの床山は若いドサ回りの歌舞伎役者春猿の妖艶さに魅入られる 同じ役を演じることになった役者は春猿を超えられるか 床山は春猿を想い役者の髪を結ったのだった
ポセイドン変幻
二人で船の上でまどろんでいるときに兄の頭を鮫に食いちぎられた妹 と兄の婚約者 家族を同じサメに殺された漁師の男 兄妹の禁断 自らの体を餌にサメ漁にのめり込む男 婚約者と妹の愛憎
ホタル闇歌
赤ん坊のときに川に捨てられ蛍に下半身を食べられていたと信じる男は 長じて他人の性行為を見てしか興奮しなくなり、ホタルに動物の肉を与え人間に群がるホタルを育てる 自らも蛍とともに焼け死ぬ 
灯籠爛死行
灯籠彫の石工は眼前で男女を交わらせその生命を灯籠に込めるように彫る その様に魅入られ自ら交わった男は精神に異常をきたしその妻の子は真相を知り自殺する
八月は魑魅と戯れ
傑出した人形師は制作した人形に霊が宿ってしまい焼き捨てることを繰り返し耐えれず自殺する

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