2012年10月31日水曜日

黒龍の柩


北方さんの歴史物です。
以前「林蔵の貌」という小説を読んで乾いた感じが面白くて他の作品も読みたいと思ってましたがやっと読めました。

新撰組ですが中心は土方。ただし微妙に視点が変わったりして、妙なおもしろさがあります。上巻では山南の死ぬ場面や沖田の場面などでぐっとさせたりもしますが歴史ものとしての大きな流れはしっかりしていてなかなか骨太です。

幕末、不戦のために奔走する男達を描きながらも中心は新撰組という武装集団、この皮肉な組み合わせを様々な人物の視点を借りながら描いていく手法は面白いです。
「林蔵の貌」とはまた違う歴史物のおもしろさがここにあるのかもしれない。
特におっと思ったのは敵である伊東の視点もあったこと。
ただ中心はあくまで土方で他のキャラは控えめ、もっと大胆にページを割いたらまた違うおもしろさがあったようにも感じます。

そういう点では下巻はほぼ土方で、普通の歴史物になります。
テーマは夢。
ただし結構仕掛けが面白くてワクワク感もありますね。
最後の仕掛けは伏線がクドすぎてバレバレですが、それでもラストは胸がすく感じ。
全体的には北方ハードボイルド歴史物、とでも言うべき作品でかっこいい。

ただしノンストップ感はないです。少なくとも私には感じられなかった。そういった語り口の旨さはないですね。
しかし面白いことに変わりなし、おすすめです。

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