2014年1月24日金曜日

素数の音楽


マーカス デュ・ソートイって作者の数学物、また読みました。以前コーチャンで見かけて読みたいと思ったのが「四色問題」とこの「素数の音楽」で、新書っぽいシリーズだった。検索したらいずれも図書館にあったから図書館もなかなかですね。
四色のほうはすぐ借りれたけど本書はちょっと待たされた。確か待ってる人数は少なかったと思うが、市内の蔵書としては中央図書館に一冊しかない本で、借りてた人が期限内に返却しなかったのかもしれない。実は私の後にも予約は入ってるので、借りてきてすぐ読んで返しました。

私はこの手の本は昔から好きで、小中学のころ、新潮文庫から出てた矢野健太郎先生の本を何冊か楽しく読みました。その後は講談社のブルーバックスだったかな、新書版で相対性理論の本などを何冊か読んだ。でもブルーバックスレベルになるとかなり難解でほとんど理解できてなかったようにも思う。

この手の本は、技術論の部分と「読み物」の部分に大きく分けることができて、前者の比率が高いほど難解で無味乾燥になるわけですが、前者が全く無いとこれがまた面白くない。前者をどの程度盛り込むか、しかも素人でもわかるように盛り込むかが、全体の面白さを決めるポイントになる。しかし読み手の数学レベルにもよるので、書き手としてはなんとも難しいところだと思う。
そういう意味では「四色問題」はかなりバランスの取れた面白い本だったと思う。特に最後は「読み物」で終わっていて、数学になじみの無い多くの読者にも、楽しい読後感で終われる作品になってた。

で、本書はというと、テーマが素数という、数学素人にも比較的わかりやすいテーマだけに入り口は比較的広く、技術論も少なめで楽しい「読み物」になってる。
しかしちょっと技術論が少なすぎの感もある。「しかしこの問題は**年に**によって証明された」といった表現で終わって肝心の証明は示してくれないのがほとんど。おそらくは証明を示しても読者のレベルではついてこれないと考えたのだろうが、理解できなくても良いから示しておいて欲しいとも思うわけで、そういう思いを喚起することももしかしたら作者の狙いだったのかもしれない。

中心にあるのはリーマン予想だけど、このリーマン予想自体がどんなものか、説明するのは簡単ではない内容。やはり技術論を書き出すときりがなくなるのかな?
戦争を背景に数学の中心がドイツからアメリカに移っていくあたりは面白い。ナチスに協力的だった数学者もいて業績は素晴らしくても人間的には評価されにくいとか、数学の真理は古代からぶれることなく全宇宙的に真理なんだろうけど、それを研究する人間は社会環境の影響をいやでも受けますね。

終盤は四色同様、近年のコンピューターに話が移っていくが、ここではコンピュータを肯定的に扱ってますね。いいツールができても考えるのはやはり人間、ツールを使いこなすことで更に高度の思考に結びつけることが出来るという方向で終わってます。

面白かった、オススメです。

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