2014年7月14日月曜日

漂砂のうたう


木内昇さん、直木賞受賞作。
文体はしっとりしていて、猥雑なのか品があるのかよくわからない、不思議な雰囲気を持ってる。
微妙な時代に行き場を失った人達をいろいろ描いてるけど、主人公の不甲斐なさは最後まで続く。考えたら人のせいにしてはっきりしないのは芳里と主人公くらいなのかな。他の登場人物はもっとしっかりと自分を持って生きてる、悪者にしても、行き場の無いのは同じなのに。
こんなしょうも無いやつを主人公に据えた作者の意図って何なんだろう?弱い人間の弱さを肯定的に描きたかったんだろうか?よくわからない
しかしさすがは直木賞受賞作、ちょっと退屈な内容だったけどラストは一気に読んでしまった。面白かった。

このタイトルだけど、調べたら「漂砂」は「波、または海に発生する様々な流れによって生じる土砂の移動、もしくは移動する土砂のこと」だそうだ。作中にも出てくる表現だけになるほどと思ったけど、「うたう」の意味がわからない。「の」でつながってるので名詞だと思うんだけどどういう意味なのかな???

作者は女性なんですね、ちょっとびっくり。
考えたら男が書く小説じゃないような気もするけど、女の小説という感じもしない、不思議な、中性的な本ですね・・・・

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