2014年7月3日木曜日

東京日和


著者は荒木陽子さんとなってますが、荒木経惟さんの奥さん。ページ的には半分以上が荒木経惟さんの写真で、亡くなった陽子さんのために出版したもののようです。
ニュース47というサイトがありますが、そこからのリンクで荒木経惟さんの写真を見ることが出来て、ちょっとショックでした。斜めの構図で撮った人間が、今にも動き出しそうに、実に活き活きとしてました。そこで改めて荒木さんに興味が出てきて、図書館で探して何冊か借りた本の一冊です。

内容としては亡くなる直前の洋子さんのエッセイが3編と短い文章が少し。
夫婦としての成熟ということで、互いを許し合う度量が豊かになってきた、と書かれてました。うーん、ナルホド。
入院中にお見舞いに来てくれたアラーキーに対して、人の思いというのは存在する、本当に存在して、疲れたものの体と心を癒してくれる、と書かれてます。
私の父が死の病で入院していたとき、朝晩行って介護してたんですが、すごく疲れて、自分の元気を父に吸い取られているように感じたものでした。その裏返しのことを書かれているように感じて、グッと来ました。
あくまで荒木さんの奥さんとしてか知らない人ですけど、優れたエッセイストだったのかもしれません。

その後にアラーキーの走り書きのメモとモノクロの写真が続きますが、最愛の妻を亡くした悲しみが行間からあふれてくるようなメモです。写真は悲しみというよりは空虚感が充満してる感じ。というよりも空虚そのものを撮ったと言ったほうが良いかも。

本、というよりは最愛の妻を亡くした男の悲しみの記録ですね。
自らを天才と称する猥雑な自信家というイメージが見事に壊されました。

0 件のコメント:

コメントを投稿