2014年7月26日土曜日

邂逅の森


これも直木賞受賞作、熊谷達也さん。昨日読了。

冒頭から重たい雰囲気で始まるけど、登場人物は多くなく、話もまっすぐに進んで単純。一人の猟師の「物語」だけど、さしたる工夫も無い単純な話なのにどうしてこんなに面白いのか!
登場人物の造形が物凄く良いとも思えないし波乱万丈の展開があるわけでもないんだけど、とにかく面白く読ませます。素晴らしい。

しいて言えば自然の描写や狩の描写が物凄く生き生きとしてますね。
クマ狩りの詳しいことなんて当たり前のこととして全く知らないわけですけど、すっと頭の中に入ってきて、雪山で冬眠中に穴から出てくるクマと、息を殺して撃つのを我慢している猟師の姿がくっきりと頭の中に浮かんできます。こういうところのドキドキ感が読んでてすごく楽しいですね。
偶然ですが、最近読んだ坂東さんの山姥にもマタギは出てきてて、こっちは結構物凄い話しでしたが、山と猟師の関係については同じような書きぶりでした。短い間に今まで読んだことが無かった猟師の話を続けて読んだことを面白く感じました。

最近読んでる直木賞物の中では今のところベストですね。

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