2014年11月6日木曜日

日の名残り


カズオ・イシグロさんの代表作ですね
ちょっとしたきっかけで「私を離さないで」を先に読んだけど、やはりこれかなと思い借りました
最近女性の直木賞作家を数多く読んでいたので、やや地味に感じた本作ですが、見事に裏切られた作品で、素晴らしい作品でした

この作者さんは非常に丁寧に物語を紡いでいく人ですね
でもすごく読ませる
特にハラハラドキドキがあるわけでもないのにこんなにも読ませる秘密は何なんだろう?
執事としての品格論なんてものが語られるわけだけど、英国の古きよき伝統みたいなものを背景としたこんな議論が結構楽しい
この品格論は本作のテーマにもなっていて、ラスト、人生を振り返って品格の誇りの下に自己を抹殺してきたことに対する自責、一抹の光、周到に用意された複線のユーモアとともに静かに幕は閉じられる
しかも激しさを感じさせる恋の話もこの静けさの中には添えらている

素晴らしいです
小説を読む楽しみを深く感じさせてくれた作品

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