2015年2月4日水曜日

恋歌


昨年の10月に予約、110人待ちだったけど順番が回って来ました。
朝井まかてさんの直木賞受賞作。
受賞作をまたずにとりあえずで読んでみた二冊は素晴らしい作品だっただけにすごく期待して読みました

前に読んだ二作品と比べると、歴史物という感じで重厚。
反面この作者の持ち味だと私が考えていたイキイキとした明るさは感じず、ちょっと無理をして書いたんじゃないかなって思いながら読み進めたが、ラストにかけて一気に来ました。

牢獄の苦渋、凄惨を経て生き抜くたくましさ
トリッキーな展開に絡めて憎悪の連鎖を見事に断ち切った清清しさ

実に見事な人間ドラマになっていて、帯にあったような「落涙」はしなかったものの、主人公の生き様に深く感動しました
楽しい話ではないけれど、深く胸に残る話に仕上がっています

ちょっと気になったのは標題
主人公の行動の根底に「恋」を据えたのだとしたら大きな違和感を感じます
夫に対する「恋」ではなく人間全般に対する「愛」こそが根底ではないかと、私は感じました
この作品のすばらしさについては何も変わりませんけどね、さすがは直木賞作、と言える作品でした

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