2020年4月9日木曜日

悪玉伝


朝井まかてさん
今までのまかてさんとはちょっと違う作品だったと思う
予備知識は全くなかったので半分くらい読むまで何の話かよくわからなかった
そして読み終えたら面白かったんだけど、何がどう面白かったのか自分でもわからず少し戸惑った

なぜわからないのか考えたら、多分すっきりした話では無かったからだと思う
無実なのに少なくともそう描かれてるのに罪を認めざるを得ず、何とか一矢報いたにしても悪玉として世に伝えられることになってしまっている

にもかかわらず面白いと感じたのは何故か
安易な勧善懲悪とせず大きな力に屈する様をりリアルに描いたこと、その中でも一矢は報いたこと、自堕落にも見える優男が過酷な環境で柳のような強靱さを見せる様、あの大岡越前ですら権力に屈する様、そして松江と瑠璃という二人の女性が与える潤い、とこんなところか

史実らしい
その足かせと重みを巧みな筆で一つの物語に仕上げたまかてさんの力量というか、円熟を感じました

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