2012年7月1日日曜日

青雲はるかに


宮城谷さん、間に二冊挟みましたが昨日読了しました。

「人は生まれながら人がつくったしくみにあてはまりやすくできているはずはなく、そのしくみに適わぬものを、折りたたんでゆく。折りたたまれたものは、生来の弾性をうしない、しくみに反発しないまでになる。」
「ことばの過多は人としての格の低さと質の悪さをあらわす場合が多い。」

いずれも上巻にあった言葉ですが相変わらず宮城谷さんですなあ。
歴史を学ぶ意味は我々が今を生きていく上での指針とすることだと思いますが、宮城谷さんの本を読む意義はさらにこういった深い人間洞察に接するところにもありますね。
しかし多弁は格の低さと質の悪さをあらわしてるのね、厳しいけどまあそうかな。気をつけよう。

本作は一人の主人公そのものを一貫して描いていて、恋の話もありで、実に面白く読めました。こんな話ばかりだと宮城谷さんも読みやすいんだけどな。
しかしちょっと俗な感じもありますね。復讐心を最後まで忘れないあたりはどうなんだろう?宰相として人のための政治ということであれば復讐心を持ち続けて趙と戦ったことはどう評価されるのだろう。
私が読んだ範囲ではそういった人物は宮城谷さんは今まで描いてこなかったような気がします。恩を忘れず、恨みも忘れない人物を宮城谷さんは最後まで肯定的に考えていたのだろうか???

面白くはあったけど疑問も大きい作品でした。

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