2014年3月29日土曜日

メディチ家殺人事件


塩野七生さんですが、全市の図書館が1週間休館ということで、急遽借りておいた本。
結構面白かったです。読みやすいし盛り上がりもあるし最後のどんでん返しもあって、まずまずの読み物ですね。

塩野さんというとやはりローマ人なので、こういう小説とローマ人の違いは何かと考えながら読み進めましたが、史実をベースにしながらも埋められない部分について、想像の翼を思う存分に広げて書いたのが本作のような「小説」と言うことになるのかな。
AがBを殺したと言うことは事実としてわかっていても、「なぜ」殺したのかと言うことはわからない。たとえ本人が理由を残していたとしてもそれが本当かどうかなんて誰にもわからない。そこをわからないとして、作者はこう考えるが、という書き方にとどめるのがローマ人の叙述。いろんな人物を配し、本人にも十分語らせて「なぜ」を作り上げていくのが小説ですね。
どちらがより価値があるかとか、面白いのかとか、そういうことはおいておいて、私としてはローマ人を非常に大きな関心を思って読み続けているのでローマ人をとりますが、本作のような小説も十分楽しめました。

欲を言えば、小説ならもっと登場人物に感情移入させて欲しかった。
前半部分の主人公と遊女の関係はなかなか面白かったのに、ラストにかけては作者に忘れられたかのような扱いでした、ここら辺を上手くまとめてもらえたらもっと面白い「小説」になったような気がします。

0 件のコメント:

コメントを投稿