2014年5月14日水曜日

一つの体で


アーヴィングの新作。
In One Personって作品、刊行されてることは知ってましたが日本ではまだと思ってたら、1月19日の朝日の日曜版の書評にあがっててビックリ!!
早速予約を入れましたが11番目。でも中央と曙の図書館にしかなく時間がかかり、5月に入ってやっと借りれました。
アーヴィングですよ!市内の図書館で二館だけってのは少なすぎじゃないかなあ??

アーヴィングといえば物語作家、奇想天外なストーリーをとにかく楽しむのが読者の喜びだと少なくとも私は思ってたわけですけど、ちょっと変わってきてると思います。
本作でいうと、奇想天外な「出来事」よりは「人間」そのものに作者の関心が注がれていて、物語性が希薄。思想性が高いということではなくて、単に「人間」を描きたかったのかなという印象。それも「普通」とは違う人間を。

物語を期待していた私としては、期待はずれといわざるを得ない作品でした。
そういった内容面だけではなく、叙述も冗長さばかりが目に付き、読みづらく、集中しづらく、読んでいて退屈さを感じる時間が長い作品でした。言い回しもひねりすぎていていちいちわかりづらく、それは翻訳者の問題かもしれませんけど。

叙述の冗長さに関しては前作でも強く感じたので、心配ですね。
アーヴィングは、物語るよりも細部を磨き上げることに神経を注ぎ過ぎなんじゃないか。木を一本一本丹念に描いてるんだけど、森になってない。
音楽でもそうですが、物凄く魅力的な作品をつくるライターが、明らかにピークアウトしていくのがわかるときってありますよね。何度聞いても昔のような良さが感じられなくなってくる。技術的には向上してるのかもしれないけど、心に届かない。
小説もそうだと思う、村上春樹もしかり、今の作品は心に届いてこない。
アーヴィングもそうなってしまったのか???

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