2013年4月17日水曜日

色彩を持たない多崎つくると~雑感


春樹さんの新刊が出ました。
12日だったんですね、世間ではずいぶんな騒ぎだったようですが、私は3月だったかな、アマゾンで予約してあったのでのんびり来るのを待つ気持ちでいたら、土曜日の13日には早速来ました。我が家の読者は家内と長男と私ですが、とりあえず私が月曜の通勤から読むことにしたので一番目になりました。
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全体的にせりふが少ない感じですね。文章が詰まってる感じ。普通にちょっと読みづらそうに見えますが、春樹さんのテンポのよい文章ですから読みづらいということはありません。一冊分のいわゆる長編小説ではありますが、分冊になるような量ではなくちょっと残念感もあったので、むしろ春樹さんの文章をたっぷり読めそうで私としてはうれしかった。
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一昨日どこかのウェブページで、この小説はちょっとしたミステリーになってるというコメントを見た。
確かにそういう部分はありますね。
しかし考えてみると春樹さんの小説は、概ね表面的に面白い。推理小説的な意味での謎解きの要素が含まれていて。自然とページをめくる手が早くなる感じ。春樹さんという人はプロの作家として読み手をあきさせないための工夫ということに気を使う人じゃないだろうか。あるいは天性のストーリーテラーなのかもしれない。ディッケンズやアーヴィング的な意味で。
どっちでも良いんだけどとにかく面白いわけで、それは特にこの作品に限ったことではないよなあと思う。だからこの作品に関してミステリー的という評価はどうかな。違ってるということではなくて、ミステリーというなら概ねすべての作品に当てはまるんじゃないかなということ。特にこの作品に限ってはいないんじゃないかということ。
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この作品にもリトルピープルが出てきました。
春樹さん的な「悪」の象徴なんでしょう。
しかしほとんど広がりはありません。ほんの一瞬。
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春樹さんはベルマンが好きなのかな?ブレンデルとの対比ではずいぶん叙情的なピアニストとして描かれてる。
しかし私としてはベルマンは唖然とするようなロシア的な音の大きな超絶技巧の人であり、まさしくリスト弾き。世間の評価もそういったものかなと思ってただけに、叙情の人と捉えていることには少なからず驚いた。
それにしても春樹さんは音楽好きですね。1984はヤナーチェクだもんなあ。今回の作品もリストではあるけれど、巡礼の年の中の目立たない5分くらいの小品。
ベルマンの3枚組みはこれから売れるんだろうなあ。
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春樹さんはやっぱりメジャーですね。
職場で「天地明察」の話をしたら周りは誰も知らなかったけど、春樹さんの新刊のことは知ってた。
ノーベル賞候補にまでなってしまった春樹さんって、新作のプレッシャーはあるんだろうか?
書くのが「きつく」なったりしてないだろうか?

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