2013年4月28日日曜日

小澤征爾さんと、音楽について話をする


村上春樹さんの対談、小説以外のものを読む第二弾。
職場の同僚に教えてもらってびっくりして図書館で検索したらすぐ借りれた。
こんな本が出てたとは、知らなかった。でも読めてよかった。

しかし全体的な話としては、春樹さんのスノッブ的な面がものすごく感じられて、小澤さんのすばらしさばかりが前面に出てくる、春樹ファンとしては残念な本だった。
小説の中で登場人物にならいくらでも語らせればいいと思うけど、小澤征爾本人を目の前にしてマーラー論をぶつあたりはいくらなんでもやりすぎなんじゃないか?
あくまで「いち」クラシックファンとして小澤征爾の考え方なりを引き出すのが春樹さんの今回の仕事だったと思うんだけど、明らかにそれを逸脱していたと、私は思った。そしてそれは読んでいてかなり不快だった。

とは言っても、前半の聴き比べのあたりはクラシックファンならヨダレもの、面白いです。
何といっても「あの」小澤征爾が自らの演奏を含めたいろんな演奏家のいろんな話を語ってくれる、しかも聞き手は「あの」村上春樹!!
まずはこの本を企画したかたに企画賞をあげたいです(春樹さんなのかもしれないけど)。

しかしこの本人気ないのかな?図書館ではすぐに予約できた。今話題の多崎くんよりずっと面白のに。春樹さんの小説以外ものってあまり人気無いのだろうか??

ところでこの本って、クラシックファン以外の人はどう読むんだろう?
私はかなりの部分が「わかる」、少なくとも出てくる演奏家の顔が大体浮かぶ程度には、しかし読者はそういう人ばかりでもないだろう、そういう人たちはこの本をどう読むのか、正直わからない。
しかしさっきのマーラーの部分で言うと、譜面の指示と実際の演奏がどうのこうのといった話を彼らは譜面を見ながらするわけですが、本に譜面がのってるわけではないし、彼らが聴いている音楽も読みての私は聴いてません。でも二人の話は十分面白い。
もしかしたらクラシックを全然聴いたことがない人でも十分面白く読める内容になってるのかもしれないな。

まあ、読めてよかったです。しかしちょっと残念でもあったかな。
春樹さんは「カフカ」がピークだったように思う。そして「カフカ」ですら「羊」は超えてないんじゃないかな。
年齢とともに経験と技術は身についていくけど、無くしていくものも確実にある。春樹さんはいろんなものをなくして行ってるんだなあ、多分、そしてそれは仕方ないことなんだろう。

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